RPAのおすすめツールと、比較時に押さえておくべくポイントを詳しく解説
RPAとは、ロボティックプロセスオートメーション(Robotic Process Automation)の略称で、文字通りロボットによって業務プロセスを自動化するソリューションです。
近年は多くの企業がRPAを導入しており、企業の成長や競争力強化につながる技術として注目を集めています。
ただし、現在のRPAは複数のベンダー(開発会社)がツールを提供しているため、まずは各ツールを比較する必要があります。
ここでは、RPAを比較するときのチェックポイントや具体的なおすすめツールの紹介していくので、RPA導入を検討している方はぜひ参考にしてください。
※すぐにRPAツールを比較したい方は、以下の一覧から解説部分へジャンプできます。
RPAツール名 | 価格 | 無料トライアル |
---|---|---|
MICHIRU RPA | ・シンプルプラン:初期費用10万円、月額費用5万円 ・アシストプラン:初期費用10万円、月額費用10万円 |
1か月 |
WinActor | ・フル機能版:年額90万8千円 ・実行版:年額24万8千円 |
30日間 |
UiPath | ・Free:無償 ・Pro:月額420ドル ・Enterprise:要見積もり |
※Freeプラン |
BizRobo! | ・BizRobo! mini:年額90万円 ・BizRobo! Lite:年額120万円~180万円 ・BizRobo! Basic:年額792万円 |
1か月間 |
Microsoft Power Automate Desktop | 無償(Windows 10、Windows 11のユーザーの場合) | ※基本無料 |
Automation Anywhere | 要問合せ | 30日間 |
Blue Prism | 要問合せ | 30日間 |
RoboTANGO | ・基本プラン:初期費用10万円、月額費用5万円/1ライセンス ・リモレクライトプラン:初期費用15万円、月額費用8万円/1ライセンス |
3週間 |
batton | 月額14万8千円〜 | 不明(要問合せ) |
ロボパットDX | ・フル機能版:月額13万2千円/1ライセンス ・実行専用版:月額4万4千円/1ライセンス |
1か月 |
RPAを比較するときのチェックポイント4つ
RPAの導入を検討する際には、複数のツールを比較し、自社に最適なソリューションを選択することが重要です。
ここでは、RPAツールの比較時に押さえておくべき主要なチェックポイントを紹介します。
- 自動化できる業務範囲を比較する
- 導入や維持にかかる費用を比較する
- 開発や運用の難易度を比較する
- サポート体制を比較する
これらの観点から各RPAツールを評価することで、より適切な選択が可能になります。
①自動化できる業務範囲を比較する
RPAツールの比較でもっとも重要なポイントが、自動化できる業務の範囲です。RPAの種類や製品によって機能は異なるため、そのツールでできることが自社の自動化ニーズに合致しているかを比較検討する必要があります。
特に、RPAは導入方法によって3つのタイプに分類されるため、それぞれの違いを把握しておくことが大切です。以下の表は、各タイプの特徴やメリットなどを比較したものです。
タイプ
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特徴
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メリット
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デメリット
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適しているケース
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デスクトップ型 | 個々のPCにインストール | 導入コストが低い、手軽に始められる、カスタマイズ性が高い | スケールアウトが難しい、属人化しやすく一元管理が難しい | 小規模な業務の自動化、試行導入 |
クラウド型 | クラウド上で動作 | 導入・運用が簡単、スケールアウトが容易、初期費用を抑えられる | インターネット環境に依存、セキュリティへの懸念、ベンダーロックインのリスク | 大規模な業務の自動化、複数の部門での利用、柔軟なスケーリングが必要な場合 |
サーバー型 | 自社サーバーにインストール | 高いセキュリティ、安定稼働、処理速度が高速 | 導入コストが高い、専門知識が必要、システム構築に時間がかかる | 大規模なシステムとの連携、機密性の高いデータの処理、高い安定性が必要な場合 |
上記はタイプ別の違いですが、ツールごとに得意な業務範囲は異なり、選定時はより細かく機能まで比較する必要があります。
自動化したい業務を洗い出したうえで、今後想定される業務拡大や新しいシステムの導入にも対応できるかどうかを検討しましょう。
②導入や維持にかかる費用を比較する
費用面の比較も、RPA選定には重要です。RPA導入にかかる費用は、業務規模や選択するツールのタイプなどによって大きく異なります。
以下は、おおまかなRPAの価格相場をタイプ別にまとめた表です。
導入費用 | ライセンス費用(月額) | |
---|---|---|
デスクトップ型 | 5万円程度~ | 5万円程度~ |
クラウド型 | 0円~ | 10万円程度〜 |
サーバー型 | 10万円程度~ | 50万円程度〜 |
上記はRPA自体の価格ですが、他にも開発費用やコンサルティング費用、保守・運用費用なども考慮しなければいけません。
実際に費用を比較する際は、以下のような項目をチェックしましょう。
初期導入費用 | ライセンス購入費 ・インストール・セットアップ費用 ・初期設定・カスタマイズ費用 |
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運用費用 | ライセンス料 ・保守・サポート費用 ・アップデート費用 |
開発費用 | RPA開発者の人件費(内製の場合) ・外部ベンダーへの開発委託費用 |
インフラ費用 | サーバー費用(サーバー型RPAの場合) ・ネットワーク増強費用 ・セキュリティ対策費用 |
その他の関連費用 | コンサルティング費用 ・業務分析・最適化費用 ・変更管理・教育研修費用 |
導入規模や利用期間によって費用が大きく変動するため、短期的な費用だけでなく、中長期的な視点での費用試算もおすすめします。
また、RPAの導入によって期待される効果(作業時間の削減、エラー率の低下、生産性向上など)を金額に換算し、投資回収期間(ROI)を計算すれば、より適切なRPAの選定が可能になります。
③開発や運用の難易度を比較する
ツールごとの開発や運用の難易度も、重要な比較ポイントです。
ツールによって、専門的なプログラミング知識が必要なものから、直感的に操作できるものまで、開発や運用の難易度に大きな差があります。
自社で開発や運用を行う場合は、RPAの使い方について知識を持ったエンジニアを確保する、もしくは既存のIT部門で対応可能か検討しましょう。
開発や運用を外部に委託することも選択肢の一つですが、その場合も委託先のサポート体制や専門性、実績を比較検討する必要があります。
④サポート体制を比較する
RPA導入の成否は、ベンダーによるサポート体制も大きく影響します。各ベンダーでサービス内容が違うため、安心して導入や運用ができるか比較検討しましょう。
具体的には、以下の項目が比較対象となります。
導入支援 | 初期設定やカスタマイズのサポート ・業務分析や自動化シナリオの提案 ・導入計画の策定支援など |
---|---|
トレーニングプログラム | 専用の研修の有無 ・オンサイトトレーニングやオンライントレーニングの選択肢 ・トレーニング教材の充実度など |
テクニカルサポート | サポート提供時間(24時間365日対応かどうか) ・問い合わせ方法(電話、メール、チャットなど) ・回答までの所要時間など |
開発支援 | ロボットの開発やカスタマイズのサポート、技術的なアドバイスなど |
アップデート | 新機能や改善点の情報提供 ・アップデート時のサポート ・下位互換性の確保・セキュリティに関する助言や情報提供 |
これらの要素を総合的に比較・評価し、自社のニーズに最も適したサポート体制を持つベンダーを選択しましょう。
【徹底比較】おすすめRPAツール10選
ここからは、RPAの中でも特におすすめのツール10選を紹介します。
いずれも優秀な製品なので、RPA導入するの際はぜひ候補に加えてみましょう。
1.MICHIRU RPA
製品名 | MICHIRU |
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開発・提供元 | 株式会社MICHIRU |
タイプ | デスクトップ型 |
価格 | ・シンプルプラン:初期費用10万円、月額費用5万円 ・アシストプラン:初期費用10万円、月額費用10万円 |
無料トライアル | あり:1か月 |
公式サイト | https://michiru.co.jp/ |
MICHIRU RPAは、熊本県に開発拠点を置くベンダーのRPAツールです。2024年1月時点で、900社以上の企業に採用されています。
月額5万円からフル機能を利用でき、他社と比較してもコストパフォーマンスの高さに優れています。
画像認識技術も備えており、表計算ソフトや会計ソフト、各種業務システムなど、さまざまなソフトウェアとの連携も可能です。
シンプルなUIで直感的に操作できるほか、シナリオの作成や保守を代行するオプションプランもあるため、自社開発と外部委託どちらでも安心して導入できます。
2.WinActor
製品名 | WinActor |
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開発・提供元 | 株式会社NTTデータ |
タイプ | デスクトップ型 |
価格 | ・フル機能版:年額90万8千円 ・実行版:年額24万8千円 |
無料トライアル | あり:30日間 |
公式サイト | https://winactor.com/product/WinActor |
WinActorは、株式会社NTTデータが提供するRPAです。純国産なので、サポートやマニュアルが完全日本語対応となっています。
マウスでの直感的な操作が可能で、ITエンジニアではなくてもスムーズに自動化シナリオを作成できます。
Office製品をはじめ、さまざまなビジネスアプリやシステムと連携可能です。
導入形式はデスクトップ型となっており、パソコン1台から導入できるため、スモールスタートにもおすすめのツールです。
3.UiPath
製品名 | UiPath |
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開発・提供元 | UiPath株式会社 |
タイプ | デスクトップ型/クラウド型/サーバー型 |
価格 | ・Free:無償 ・Pro:月額420ドル ・Enterprise:要見積もり |
無料トライアル | あり:Freeプラン |
公式サイト | https://www.uipath.com/ja |
UiPathはルーマニアの企業が開発したRPAツールで、日本だけでなく、世界100か国以上で利用されています(2,022年7月31日時点)。
デスクトップ型、クラウド型、サーバー型の3タイプがあり、自社のニーズに合わせて最適なプランを選べます。
Freeプランなら無償で使えるため、コストを気にせずテストできる点もメリットです。
個人レベルから企業全体の大規模な業務までカバーできるため、幅広いニーズにおすすめできます。
4.BizRobo!
製品名 | BizRobo! |
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開発・提供元 | オープン株式会社 |
タイプ | デスクトップ型/サーバー型 |
価格 | ・BizRobo! mini:年額90万円 ・BizRobo! Lite:年額120万円~180万円 ・BizRobo! Basic:年額792万円 |
無料トライアル | あり:1か月間 |
公式サイト | https://rpa-technologies.com/ |
BizRobo!はオープン株式会社(旧RPAテクノロジーズ株式会社)が提供するRPAツールです。
もともとはアメリカで開発されたツールですが、日本のビジネス環境に合わせて改良されており、2008年から国内提供をしています。
全国10拠点での対面相談や現場での直接支援など、他社と比較してもサポート体制が充実している点が特徴です。
eラーニングやナレッジサイト、ユーザーコミュニティなどコンテンツも豊富に用意されており、スムーズにRPAを導入できる環境が整っています。
5.Microsoft Power Automate Desktop
製品名 | Microsoft Power Automate Desktop |
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開発・提供元 | Microsoft社 |
タイプ | デスクトップ型 |
価格 | 無償(Windows 10、Windows 11のユーザーの場合) |
無料トライアル | あり:基本無料 |
公式サイト | https://www.microsoft.com/ja-jp/biz/smb/column-power-automate-desktop |
Microsoft Power Automate Desktopは、Microsoft社によるデスクトップ型RPAツールです。ワークフローの自動化ツールである Microsoft Power
Automateの一機能として提供されています。
Windows 10もしくはWindows 11ユーザーなら無料で利用可能で、パソコン上の操作全般を自動化できます。
Microsoft製品の自動化機能といえばExcelなどのマクロ(複数の機能をまとめて呼び出す機能)もありますが、これはMicrosoft Officeツールのみの限定的な機能です。
一方、Microsoft Power Automate Desktopなら多数の外部アプリケーションと連携が可能で、マクロと比較すると自由度は高いツールです。
6.Automation Anywhere
製品名 | Automation Anywhere |
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開発・提供元 | Automation Anywhere社 |
タイプ | デスクトップ型/クラウド型/サーバー型 |
価格 | 要問合せ |
無料トライアル | あり:30日間 |
公式サイト | https://www.automationanywhere.com/jp |
Automation Anywhereは、アメリカに本社を置く企業のRPAツールです。
世界中の名だたる大企業が活用しており、国内でもSoftBankが導入して年間770万時間もの労働時間を削減しています。
ツールに生成AIを組み込むことで、よりスピーディーな自動化と生産性向上を実現しています。
大規模な自動化に強みを持つので、企業全体の業務効率化を図りたいときにおすすめできるRPAツールです。
7.Blue Prism
製品名 | Blue Prism |
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開発・提供元 | Blue Prism社 |
タイプ | デスクトップ型/クラウド型/サーバー型 |
価格 | 要問合せ |
無料トライアル | あり:30日間 |
公式サイト | https://www.blueprism.com/japan/ |
Blue Prismはイギリスの企業で、RPAの概念を世界で最初に提唱したベンダーとして有名です。
エンタープライズ向けの機能に力を入れており、複雑な処理や一元管理、大規模かつ安定的な稼働に定評があります。
医療や銀行など、大規模かつセキュリティ性を求められる分野で多くの実績を持っています。
生成AIを活用した自動化にも取り組んでおり、新しい技術も積極的に取り入れているツールです。
8.RoboTANGO
製品名 | RoboTANGO |
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開発・提供元 | スターティアレイズ株式会社 |
タイプ | デスクトップ型 |
価格 | ・基本プラン:初期費用10万円、月額費用5万円/1ライセンス ・リモレクライトプラン:初期費用15万円、月額費用8万円/1ライセンス |
無料トライアル | あり:3週間 |
公式サイト | https://robotango.biz/ |
RoboTANGOは日本のスターティアレイズ株式会社が提供するRPAツールで、中小企業への導入600社以上という実績があります。
操作しやすいUIや録画による自動化機能など、だれでも簡単にRPAの開発や運用ができる設計になっています。
契約形式はフローティングライセンスを採用しているため、1ライセンスを複数の端末で共有することも可能です(同時使用は不可)。
手厚いサポート体制もあるため、初めてのRPAでも難なく導入できるでしょう。
9.batton
製品名 | batton |
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開発・提供元 | 株式会社batton |
タイプ | デスクトップ型 |
価格 | 月額14万8千円〜 |
無料トライアル | 不明(要問合せ) |
公式サイト | https://batton.co.jp/rpa/ |
battonは2019年にスタートしたRPAツールです。ITトレンド2021上半期RPAランキングで1位を獲得するなど、外部のアワードで高い評価を受けています。
スマホ感覚で使えるUIなので、ITの専門知識がない人でも気軽に始められます。
費用は月額サポート付き14万8千円からと、シンプルな価格設定になっている点も魅力です。
対応している業種も幅広く、ECや人事、営業、飲食店など、さまざまなシーンで活用できます。
10.ロボパットDX
製品名 | ロボパットDX |
---|---|
開発・提供元 | 株式会社FCEプロセス&テクノロジー |
タイプ | デスクトップ型 |
価格 | ・フル機能版:月額13万2千円/1ライセンス ・実行専用版:月額4万4千円/1ライセンス |
無料トライアル | あり:1か月 |
公式サイト | https://fce-pat.co.jp/ |
ロボパットDX(Robo-Pat)は、導入実績が1,000社を超える国産RPAツールです。
2022年度のBOXIL Saasトレンド大賞やITreview Grid AwardでNo.1を獲得しています。
「現場での使いやすさ」を徹底しており、IT知識のない事務職でも自分で自動化できるツールとして売り出している点が特徴です。
1か月単位での契約ができるので、繁忙期や閑散期といったシーズンに合わせてライセンス数を調整することもできます。
自社に適切なツールを選んで業務効率化を実現しよう
この記事で解説したRPAの比較ポイントを振り返ると、次のようになります。
- 自動化できる業務範囲を比較する
- 導入や維持にかかる費用を比較する
- 開発や運用の難易度を比較する
- サポート体制を比較する
ツールごとに機能や価格などの特徴があるため、細かい違いまでしっかり比較して候補を絞りましょう。
そして、自社との相性が良いRPAツールを選ぶためには、まず「自社に必要な機能は何か」「どのようなニーズが自社にあるか」を見極めることも大切です。
適切なRPAツールを選び、スムーズな業務の効率化で生産性や競争力を高めていきましょう。